2000年代前半、日本の激情ハードコアのフォーマットが確立する以前のシーンとも呼べない界隈では様々な試行錯誤が繰り返されており、独自の表現をするバンドが多数存在しました。2019年現在から振り返っても面白いことをやっているバンドや、今だと別の文脈を持って受け入れられそうなバンドがたくさんいるのですが、SNSとYouTube以前なのでアーカイブに乏しいのが 残念なところです。
今回のイベントは、あのころ面白いことをやっていたバンドが久々にライブするのをきっかけに、当時から形態を変えつつ表現を研ぎ澄ましているバンドと、久しぶりに活動するメンバーが新しいことを模索し始めたバンドで、20年近く経過した今なにを提示できるのか?をコンセプトにしています(完全に後付けですが…)
womb
現在broilerやdaybreakなどで活躍しているコウスケくんが在籍していた、ニュースクール色強めのカオティックハードコアバンドwombが本当に久しぶりにライブをします。コンピレーションの1曲めがリコーダーからはじまるといえば「カオティック」に期待が持てるかと。broilerでのコウスケくんのパフォーマンスが印象的ですが、wombについてはメンバー全員の異質さが奇跡的なまとまり方をしている印象です。
REDSHEER
REDSHEERの前身となるScaleneも同時期に活動していました。Scaleneは90年代から00年代のヘヴィグルーブ・ミクスチャーの文脈が色濃い印象があったのですが、今聞き返すと奥に秘めていた狂気はREDSHEERの楽曲やパフォーマンスの鬼気迫る迫力に昇華されているなと正しい進化を感じます。最近の楽曲はギターの山口さんが公言している歌謡曲からの情念的なインスピレーションを感じる要素も多く、本来の意味でのmixtureの一つの形として研ぎ澄まされているなと。
unklet
同じころunkletのドラムとギターもenforceとgotta move this siteでジャンルの型にはまらない表現を模索していました(やりたい放題やってたら「なんか違う」って言われていたというほうが正しいのですが)ベースとボーカルは少し下の世代で叙情系を出自としていることもあり、要所にニュースクールの影響が出てしまっているのはご愛嬌…
当時を知る人にも若い世代にも、懐しさや古臭さではなく、なんらかの違和感や発見が提供できるといいなと思っています。良くも悪くも90's EMOリバイバルのようにはなれないので。
興味をもってくれたあなたとお会いできることを楽しみにしています。
文責:加川大志郎(unklet ギター担当)